最近それぞれの立場で“良かれと思ってか”「関西3空港一体運用」に取り組むべきとの発言を色々な方々がされているのが聞こえてきます。
例えば神戸空港活用促進協議会の会長(神戸商工会議所会頭)や兵庫県知事は利用者の利便性や関西全体の発展そして新関西国際空港のコンセッション(運営権の民間売却)に神戸空港を含めると事業価値は高まる等の理由をあげて取り組んでいくと強調しています。
もちろん神戸空港の運用時間の延長・発着枠拡大などの規制緩和を前提に発言されていますが、“かっこつけすぎ”の発言でしかありません。
どんな根拠があるのでしょう!
いつ,誰が,どのようなプロセスで,収支は,相手は新関空会社か新しい事業者か・・・、具体的な協議もなければ運営見通しの裏付けになる数字一つなく、関空側からの発言も当然ありません。
神戸市は神戸空港の最重要課題を当初から「運用時間延長」と「発着枠の規制緩和」としており、何年も努力し続けてきたはずであります。
ただ本来平成17年11月神戸空港開港を踏まえた上で「関西3空港の在り方について」と題して、3空港それぞれの運用を国土交通省航空局が最適運用と考えた内容を書面で作成したことがスタートであります。
しかしその後機材が大型から小型化になり、発着枠すべてを運用しても着陸料収入では収支が成り立たなくなったり、JALの破綻,医療関連企業等利用者の要望,関空・伊丹の統合,LCC(格安航空会社)の参入,伊丹のジェット枠の拡大等、航空業界に大きな変化が起きております。
この中で特に関空・伊丹統合と伊丹のジェット枠拡大については「関空3空港の在り方について」とした航空局指導の役割分担の内容は完全に崩れたのであります。
にもかかわらず神戸空港だけには未だにそのままの運用内容で縛っております。
国が支援している新関空会社に対して一地方の神戸市営空港だけに厳しい規制をかけることは常識ではありえませんが、神戸市が1972年神戸沖空港に反対した経緯は未だに残っており大阪側の強い圧力に航空局も動くことができないのであります。
しかし今日までの規制緩和に対する神戸市側の並々ならぬ努力により航空局の理解が深まり雪解けしかけており、運用時間延長による管制官3交替についても管制保安部は方針が決定すれば予算も含めいつでも対応可能とまで言っていただいています。
航空局としての一番の問題は関西の中でのコンセンサスを得ることなので、今年に入ってその対応については今申し上げられませんが水面下で努力中であります。
そのような中で関西3空港一体運用推進の話がでると航空局の内部でも“神戸市が求めている規制緩和は3空港一体運用の時期に同時に行えば”との話も出てきたのであります。
今関西・伊丹が7月統合し、新関空会社として2年後運営権売却というスケジュールを必至に対応している最中、3空港一体の協議をしてもいつになるのか見通しがつきません。
結果的に規制緩和を先送りされれば本末転倒であり、市長にも議会にも慎重に進めるよう問題提起をしてきました。
何故なら私自身航空局や新関空関係の方々と今日まで常に協議を続け、現場状況を誰よりも把握しているからであります。
引き続き厳しい環境に変わりはありませんが、今後とも全力で戦ってまいります。
神戸市会議員 平野章三
H24.10.23 本会議より